アバターを見た
映画「アバター」見ました。
めっちゃ面白かったです。
物語の作り方など、ほんまに考えさせられました。
地球人が、地球の数倍のスケールの植物で覆われた惑星パンドラに進出し、開発を進めるはなしです。
まるで恐竜のように巨大で強暴な生物が闊歩する星に住む先住民ナヴィは、自然を尊敬し森と一緒に共生しています。
彼らの住む森の下に、地球にいけばキロ数億円の鉱物アンオプタニウムがあり、地球人が武力などを行使しながらどんどんと開発をすすめていきます。
そこにやってきたのが、両足が麻痺して車椅子生活を余儀なくされている元海兵隊の主人公。
彼の任務はアバターという人間と先住民ナヴィの遺伝子結合してできた生物を操作して、先住民の様子をさぐること。アバターは見た目は、ナヴィと何も変わらないのです。
スパイしていくうちに、彼はどんどん自然と共生するナヴィの生活に惹かれていくのです。
てのが、粗筋。以下感想 完全にネタバレですので、読みたい人はドラッグして読んでください。
宮崎駿の映画をハリウッドでつくったらこんな内容になるのだろうなという感じが、ひしひしとしました。
マスクをかぶっていないと呼吸ができない星→風の谷のナウシカの腐海
飛行船の大船団や空飛ぶ生き物バンシーに乗って狩りをする様子など、風の谷のナウシカに似たシーンがたくさんあったなぁと思わせました
ヒロインがピンチのときに、森の怪物たちが群れになって救う様子は、ナウシカやもののけ姫のクライマックスを思わせました。
宙に浮く鉱物アンモピタニウムは、ラピュタの飛行石(このおかげで、パンドラ星には島が大空に浮いていたりする)
あと、森の描写がもののけ姫とそっくりやと思いました
そういうのを差し引いても、僕は感動しました。
一言で言うと、アメリカの歴史上重大な事件2つを盛り込んだ教育映画やと思います。
そのひとつが何かと言うと、先住民インディアンを迫害した歴史。ナヴィは、インディアンをモチーフにしているのは間違いなくて、株主の意向などの理不尽な地球人の考えでどんどんと迫害されていきます。
もちろん、北米インディアンだけでなく、南米やインド、東南アジア、オーストラリアなどで起こった植民地政策とかも風刺しており、アメリカだけでなく西洋列強(日本を含む)の方々も反省させられる映画です。
けど、反省するだけでは物語に感情移入できません。
いうなれば、裁判で加害者である被告の立場として観賞するようなもの。やはり、裁判のニュースで感情移入するのは、遺族や被害者の原告側やと思います。
加害者としての反省から、被害者としての共感へチェンジさせるのが、劇中ででてくるもうひとつのアメリカでおこった重大な事件をモチーフにした場面です。
どんな場面かというと、ナヴィたちが長年住んでいた、エンパイアステートビルよりも巨大な木を、地球人たちが圧倒的な武力を持つ飛行船団の火力でなぎ倒すシーンです。
まっぷたつに崩れ落ちる巨大な木、雨のようにふりかかる木の破片や炎、その中を逃げ惑う老若男女のナヴィたち。その中には、ナヴィたちに寝返った主人公たちもいます。
僕はこのシーンは9.11のテロをモチーフにした場面やと思っています。たぶん、あの映像を見た人のほとんどが、何年か前にテレビでほぼリアルタイムで見た、くずれ落ちるビルの映像をだぶらせたと思います。
この場面をいれることで、加害者としての反省から、被害者への共感へ逆転できるのやと思います。
アメリカ人にとって先住民を迫害した歴史は悪いことだとは知っていても、どういう痛みかは理解できない。けど、それを9.11のテロそのものの映像を見せることで、自分たちの祖先がインディアンに与えた痛みをイメージさせたかったんやと思います。
こういうシーンがないと、多分ナヴィ側に感情移入はできないままストーリーはすすむと思います。
何と言っても、後半部になるとナヴィたちが地球人たちに逆襲する場面があります。そこでは、僕らからみたらエイリアンであるナヴィが地球人を殺しまくるのです。(もちろん、地球人も頑張ってナヴィたちを同じくらい殺しまくるのですが あと主人公のアバターもナヴィ側について僕らの同胞である地球人を殺しまくります)
あの巨木が倒れる場面をいれることでナヴィサイドの反撃を応援することができるのだと思います。それがなければ、未開のエイリアンに地球人が虐殺されるだけの不快なシーンでしかありません。
けど、そういうのを全て逆転させる、すごい展開として、9.11をイメージさせる巨木が倒れるシーンを利用しているのにはさすがだなと思いました。
で、印象的だったのが、地球人側のボスキャラとの対決で、そのボスが主人公に言った言葉。
「どうだ、人類を裏切った気分は?」
さて、これはみんなどういうふうに受け取ったのでしょうか? 特にアメリカ人。
「どうだ、アメリカ建国の歴史を否定した気分は?」
きっと、脚本家はさっきのセリフをこういうふうに観客に読ませたかったと思うのです。
もちろん、韓国や大陸、台湾を植民地化していた歴史のある日本人にもはねかえってくる言葉です。
新大陸やアジアを植民地化したヨーロッパの列強の観客にもはねかえってきます。
チベットを侵攻した中国人にもはねかえってくる言葉でもあるでしょう。
先住民を地球の自然や環境、ナヴィたちを迫害する地球人を発達しすぎた科学に置き換えて、エコロジーの視点からそのセリフを読みとくのもありやと思います。
ちなみに、隣にいったカップルの男子が、「やっぱり自然は大切にせなあかんなぁ」って感想を彼女に言っていたので、彼はボスの言葉やこの物語全般を、発達した科学技術が地球の自然環境を傷つけるシーンに置き換えて読みとったのでしょう。
アバターを見た人は、実際にボスキャラの最後の言葉を聞いて、どんな感想を持ったでしょうか?
僕はハリウッド映画があまり好きではないですが、その理由は、アメリカの国策映画みたいな内容のが多いような気がするからです。
今回もそういう匂いがプンプンします。
けど、ちょっとそれまでと違うのは、今までのそういう映画がアメリカの拡大主義を肯定する内容だったのが、今回はそれを否定するメッセージがあることです。
結局最後にドンパチで解決するのはどうかなとも思いますが、
何か今までと違う、アメリカや先進国の歴史やこれから進んでしまうであろう未来を反省、否定するメッセージがこめられていて、それがしっかりエンターテイメントとして楽しませているとこが素晴らしいと思いました。
とツラツラ書きましたが、みなさんどう思ったでしょうか?
僕が考えていることは、妄想でしょうか?
ハリウッドの脚本術という本を読んだことがありますが、そこには、ハリウッド映画はいかに計算しつくされたシナリオ展開があるかを教えてくれていました。
あながち、的外れな意見ではないと思うのですが……






